ラムとしゃんぷのアイドル物語
(無断転載禁止!)
   6  桃の節句

「ひまだっちゃ〜!節分まだかな〜。」
「なにバカなことを、こないだしたばかりじゃろ!」
「退屈だちゃ!退屈だっちゃ!」
珍しく仕事のあいたある日の午後、
事務所でアタルとラムちゃんがそんなことを言っていると…
ジリリ〜ン♪
早速仕事の依頼です!
「お雛さんのCM1大本至急!」
「はいはい!すぐ出ます!」
なんだかラーメンの出前のようですね。
そういうわけで、早速二人は出かけてゆきました。

さて、事務所に残った先輩のしのぶさん。
「またラムに仕事依頼?私は最近ひまだわ〜。」
そこにしのぶさん担当のマネージャー面堂がやってきました。
「しのぶさ〜ん!こっちも人形の依頼ですよ!」
「本当!♪嬉しいわ〜!♪って…」
「どうかしました?」
「これって五月人形じゃない!私は金太郎か〜!」
荒れるしのぶさんから逃げる用にドアを出てゆく面堂。
ボソッと一言。
「こんなに似てるからぴったりなのに…」
その瞬間!
「何ですって〜!」
再び怒号が飛び交いました。


私の名は、亜比田夢臼(あひるだむうす)通称ムース。
とあるタレント事務所で
アイドルマネージャーを勤める真面目な会社員だ。
毎朝、決まった時間に起き、決まった電車で通勤する。
しかし最近は、その決まりきった毎日に新たな任務が一つ増えた。
実は…
今回3月の「日本中華まん協会」のキャンペーンで
桃の節句にちなんで、「桃まん」の発売が決定し、
我が事務所のシャンプーちゃんがそのCMに抜擢されたのだ。
そして、
めでたくポスターが出来上がり町のあちこちに貼られたわけだが…
なんといこと!
そのあまりの出来にポスターの盗難が相次いだのだ!
これではいかん!ポスターといえばシャンプーの分身!
しゃんぷーを守るは我が使命!
そこで私は、最近は毎日ポスターの監視にまわっておるのだ。
やや!あのコンビニ、あんな目立つところにポスターを貼っておる!
ややや!高校生の集団がそれを見て何かを言っておるぞ!
…、かわいい…、きれい…、ん?欲しいだとぉ〜!
何だと!きっとあいつ等はポスターを奪う気じゃ!
おらのしゃんぷーを奪う気じゃ〜!
させはせん!させはせんぞ〜!
見ておれ〜!はははははははははははは!
こうして、こうして、こうして…
どうじゃ!こうやって上から黒い紙を貼っておけば奴等も気付くまい!
ははははははははは!
「あの〜、もしもし?」
ん?なんじゃ?コンビニの店員ではないか?
何の用じゃ?
「そんなところで、そんなことをされると営業のじゃまなんですが…」
!(・∀・)「…」

私の名はムース。
時々やりすぎてしまうが、根は仕事熱心な真面目な男じゃ。


さて、今回は桃の節句にちなんで、
ひな祭りコンサートを開きました。
意外にも女性にも人気のラムちゃんなので、
会場は黄色い声援で一杯です。
今まさに第1部が終了し、第2部までのしばしの休憩時間。
「ふ〜、疲れたっちゃ!」
「お疲れさん、ほれ冷たいもの。」
「ありがとうだっちゃ、ダーリン♪ところでね…」
「なんじゃ?」
「今日お友達を人招待したのにまだ来てないっちゃ。」
「友達?誰?」
「ダーリンもよく知ってる人だっちゃ。」
「ふ〜ん、でもお前、
あれだけの観客の中で来ていないのがなぜ分かる?」
「わかるっちゃ!人目で来ていないのがわかるっちゃ!」
「???」
「だって、あの人が来たらば…」
その時、いきなり地震のような揺れと共に大きな物音が!
どし〜ん、どし〜ん!
やがてその物音は、どんどん大きくなって近付き始めた!
「来たっちゃ!」
「おい、お前、招待したお客さんってもしかしたら…」
「うん、あの歌好きの…」
「まさかあの髭面の大きな…」
「そう、歌の仙人さんだっちゃ!
「やばい!」
あたるは急いで会場に向かったが、ときすでに遅く、
先ほどまで黄色声援で満ちていた会場は、
絹を裂く悲鳴に代わっていました。



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